クラウドERPはどのような進化したのか?ドイツの歴史から学んでみる

クラウドERPはどのような進化したのか?ドイツの歴史から学んでみる ERP
クラウドERPはどのような進化したのか?ドイツの歴史から学んでみる

コンピュータ技術の進歩に伴い、ERP(Enterprise Resource Planning)は企業にとってますます欠かせない存在となっています。近年では、ERPはクラウド型ERPへと進化し、企業にとってより大きなメリットと柔軟性を提供しています。そんなERPの略称・歴史から現状に至るまでを振り返り、日本での普及の背景を解説します。

ERPとは?

ERPとはEnterprise Resource Planningの略で、日本語では「統合基幹業務システム」と呼ばれるています。ERPシステムは、企業経営における重要な業務機能をカバーし、製造、調達、物流、販売管理、在庫管理、財務会計、人事・給与などの情報を一元管理するものです。ERPのメリットは、業務を遂行しながら情報をシステムに登録するため、異なる部署でも情報を共有できることだ。また、タイムリーな情報分析をサポートし、経営の意思決定を可能にし、ERPを活用することで、経営資源に関わる情報を集約し、企業経営全体を最適化することができます。

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ERPの歴史

まず1973年、ドイツのSAP社が世界初のERPシステムを発表しました。以来、コンピュータ技術の進歩とともにERPシステムは進化し、多くの企業で採用されてきました。ここでは、ERPの誕生から現在に至るまでの歴史を紹介していきます。

初期 メインフレームの登場

1960〜1970年頃、メインフレームと呼ばれる大型コンピュータが企業に導入されました。メインフレームは、専用のコンピュータールームを必要とする大型のシステムです。設置や管理にコストがかかるため、処理負荷の高い業務に導入され、調達、販売管理、在庫管理など部門ごとにシステムが構築されました。そのため、各部門の業務効率化を目的とした部分最適化が行われているのが特徴です。

ERPシステムとしての形が出来上がる

部門別のシステムは、企業経営全体を扱う上で課題があった。例えば、売上と在庫のデータを連携させなければならないが、システム間の連携方法がなく、データを手入力で再入力しなければなりませんでした。そのため、情報がリアルタイムでなく、経営資源をタイムリーに把握することが困難で、入力ミスや商品コードの不統一などの問題も指摘されていました。
そこで、全体のパフォーマンスを最適化するために、ERP(Enterprise Resource Planning)システムが出来ました。ERPシステムは、製造業で普及していたMRP(資材所要量計画)システムを発展させたもので、基幹業務全般をシステム化することを目的としていました。。SAP社は、世界で初めてメインフレーム上で動作するERP製品を開発・販売することになりました。

いつ日本へ普及したのか

日本では、1990年代からERPの導入が活発化したと言われています。これは、既存の組織やプロセスを見直し、業務の流れを設計し直すBPR(Business Process Re-engineering)ブームが大きな要因でした。標準化された業務プロセスを実現するためには情報システムが必要であり、業務のベストプラクティスを実現する方法としてERPが導入されることが多くなりました。また、社会のグローバル化に伴い、日本でも企業会計を世界標準に合わせようという動き、いわゆる会計ビッグバンが起こり、そこで多くの日本企業は、国際財務報告基準(IFRS)に対応するため、会計や業績報告の機能を組み込んだERPシステムを導入したことが普及の加速を強めたと言われていいます。

オンプレミスからクラウドへの進化

ERPが開発された当初は、ERPパッケージが少なかったため、多くの企業が自社で一からシステムを構築するスクラッチ型開発を採用していました。しかし、スクラッチ開発は、企業独自の要件に合わせられるというメリットがある反面、時間がかかり、初期コストが高くつくという問題がありました。

そこで、ERPの導入を容易にするパッケージが開発された後、オンプレミス型のERPが主流となりました。パッケージに従うことで、業務を標準化でき、導入時の初期費用やコストを最適化できるメリットがあり、自社の業務に合わせてパッケージをカスタマイズする方法もあります。
2010年以降、クラウド技術の進歩により、プライベートクラウド型ERPや月額数千円で利用できるパブリッククラウド型のERPシステムが増えています。

ERPの将来とは?

近年、システム環境の複雑化により、全体最適の実現が難しくなってきています。例えば、テレワークの普及やモバイル端末の活用により、ERPにアクセスするデバイスが多様化しています。また、IoTの進化に伴い、センサーやデバイスから収集したデータがERPに蓄積されるようになりました。さらに、蓄積されたデータをAIで分析し、新たな知見を見出すことが期待されています。これらの要件に対応するため、最新のデジタル技術を活用できるERPが求められるようになりました。
ERPの国産化が進む中、ベストプラクティスを導入していない日本企業も、今後はクラウド化によって導入が進むと予想されます。グローバル化が進み、あらゆる産業が急速に変化する中、ITインフラを柔軟に保つために、新しいERPが普及していくことでしょう。

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