クラウドERPとは、その名の通りクラウドやインターネット上に構築されたERP。搭載されたERPの機能をクラウド環境で使えるようにしたものです。世界有数のリサーチ・アドバイザリー企業であるガートナー ジャパンは、「オフプレミスで稼働し、サブスクリプションや従量制課金で利用する形態として提供されるもの」とクラウドERPを定義しています。 従来のオンプレミス型との違いをご紹介していきます。
クラウドとオンプレミスとの違い
まずは、”クラウド “と “オンプレミス “の語源を説明していきます。
クラウドとは、ネットワーク構成図を説明するために描かれた雲の絵からきているようです。目には見えないが存在するインターネットを示す意図があったと言われています。これに対して、クラウドファンディングのクラウドは、”最近よく見聞きする “ものです。クラウドERPの “クラウド “とは意味が異なるので注意が必要です。
一方で、「オンプレミス」とは、通常、建物や敷地内、店舗内を指します。しかし、ERPの文脈では、ユーザー自身が機器を設置し、運用する従来の社内運用を意味しています。そこでオンプレミス、オンプレミス型ERPと呼ばれることもあります。
オンプレミス型とは
オンプレミス型ERPは、自社だけのためにカスタムメイドのERPを購入する企業や、自社でERPを構築できる企業が買い取り方式で導入することが多く、「自社の業態に合わせたフルスクラッチでの構築」
「テンプレートをベースに追加開発で構築」する、などの構築に適しています。
メリットとしては、運用は自社のIT部門に任せることができるため、追加コストが少ないこと、そのため、カスタマイズの自由度が高くなります。。また、社内の他システムとの連携も容易です。最後に、セキュリティなどの要件に応じて、自由にコントロールすることができます。
デメリットとしては初期コストが高く、手間とコストのかかるハードウェアの調達、サーバーの構築など工数がかかります。さらに自社サーバーが災害の影響を受けた場合に利用不能・復旧が困難になったりします。
クラウド型とは
クラウドERPは、従来のオンプレミス型ERPをクラウド基盤上で提供する形態です。このモデルでは、製品はユーザーが「所有」し、サーバーは「使用」することになる。オンプレミス型のメリットはそのままに、環境インフラとしてIaaSやPaaSを利用することで、クラウドERPのメリットも手に入れることができます。一方、クラウドERPは、ソフトウェアとインフラをセットで「使える」ソフトウェア・サービスとして提供する企業が増えており、SaaSはノンカスタマイズを前提としたパッケージソフトウェアであることが多く、月額課金や継続課金の料金体系を採用しています。
メリットとしては、クラウドサービスは、利用した分だけ支払うので低コストです。サービスの利用を停止したければ面倒な手続きなしで止められ、再開したい場合もすぐに利用を開始することができます。災害時にもデータを保護されており、クラウドサービス事業者がサーバーのセキュリティを保証するため、自社でサーバーを運用する場合と比較して、セキュリティリスクが軽減されます。
デメリットとしては、継続的な運用コストとしシステムを担当する人件費が、クラウド運用の課題となる可能性があります。また、サービスによっては連携できない(自社のレガシーシステムなど)場合もあり、カスタマイズが制限される可能性があります。最後に、災害時や緊急時に提携サービスが被災した場合、サービスが停止してしまいます。そのため、他社のサービスを利用するため、セキュリティの設定には注意が必要です。
まとめ
これまで日本ではオンプレミス型のERPが主流でしたが、導入期間の長さや初期コストの高さ、保守の手間などから、より時代にマッチしたクラウド型のERPが選択されるようになってきました。また、近年のインフラ環境の整備や、「所有」から「利用」への顧客ニーズの変化により、クラウドERPを提供するベンダーも増えてきています。
しかし、だからといってすぐにクラウドERPに乗り換える必要はありません。今回紹介したクラウドERPのメリット・デメリット、自社に必要な機能やカスタマイズの可能性、予算やリソースなど、あらゆる角度から情報を洗い出し、適切なERP・ベンダーを選定してください。
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